南部解放記念日・祖国統一記念日
April 30, Wednesday
歴史的背景
1954年のジュネーヴ協定により、ベトナムは北緯17度線を境に北ベトナム(民主共和国)と南ベトナム(共和国)に分断されました。その後、北ベトナムを支援するソ連や中国、南ベトナムを支援するアメリカとの間で激しい戦争が続きました。1973年のパリ和平協定によりアメリカ軍は撤退しましたが、戦闘は続き、最終的に1975年4月30日に北ベトナム軍がサイゴンを制圧し、南ベトナム政府が崩壊しました。この出来事は「サイゴン陥落」または「解放の日」として知られています。
祝日の意義と現代の祝い方
この日はベトナムにとって国家統一と独立を象徴する重要な記念日であり、全国的に祝われます。政府主催の式典や軍事パレード、記念演説、花火大会などが行われるほか、テレビやラジオでは戦争の歴史や英雄たちの功績を紹介する特別番組が放送されます。多くの人々が国旗を掲げ、家族や友人とともに休日を過ごします。
また、5月1日のメーデー(国際労働者の日)と連続して祝日となるため、長期休暇を利用して旅行に出かける人も多く、国内の観光地はにぎわいます。
国際的な視点
この記念日はベトナム国内では「解放」と「統一」の象徴として祝われていますが、国外、特に南ベトナム出身の亡命者やディアスポラの間では「サイゴン陥落の日」として悲しみや喪失の記憶と結びついています。そのため、海外のベトナム人コミュニティではこの日を「ブラック・アプリル(黒い四月)」と呼び、追悼行事が行われることもあります。
このように、南部解放記念日・祖国統一記念日はベトナムにとって歴史的転換点を記念する重要な祝日であり、国家のアイデンティティと統一の象徴として位置づけられています。