大祈祷日
May 16, Friday
歴史的背景
Great Prayer Dayは、1686年にデンマークの司教ハンス・バガー(Hans Bagger)によって制定されました。当時、多くの小さな宗教的祝日が存在していたため、それらを統合し、国民が一斉に祈りを捧げる日として設けられたのがこの祝日です。宗教改革後のルター派の伝統に基づき、国家的な祈祷日としての性格を持ち、王室の布告によって正式な祝日となりました。
伝統と習慣
大祈祷日の前夜には、特別なパン「hveder(フヴェダー)」を食べる習慣があります。これは、祝日当日にパン屋が休業するため、前日に焼かれた温かい小麦パンを家族で食べるという伝統から来ています。hvederはカルダモンなどの香辛料が入った甘めのパンで、トーストしてバターを塗って食べるのが一般的です。
また、祝日当日は多くの人々が教会に足を運び、静かに祈りを捧げる時間を過ごします。近年では宗教的な意味合いが薄れつつありますが、春の訪れを感じながら家族と過ごす穏やかな休日として親しまれています。
近年の動向
2023年、デンマーク政府はGreat Prayer Dayを祝日から除外する法案を可決しました。これは国の防衛予算を増加させるための財源確保策の一環として行われたもので、2024年以降は正式な祝日ではなくなりました。この決定は国内外で議論を呼び、伝統の喪失を懸念する声も多く上がりました。
それにもかかわらず、多くのデンマーク人にとってGreat Prayer Dayは文化的・歴史的に重要な日であり、今後もその精神や伝統が家庭や地域社会の中で受け継がれていくと考えられています。